INTERVIEW
漆器とともに、時代を越えて。漆琳堂が担う、越前漆器の伝統とその先。
Vol.13 出展者インタビュー
2023年9月23日(土)～24日(日)の2日間、コクヨ東京品川オフィス「THE CAMPUS」で開催されるPASS THE BATON MARKET。第13回となる今回は、全56ブランドのうち27ブランドが新たな顔ぶれとなります。福井県の越前漆器に携わる200社ほどのなかから、漆琳堂が今回はじめて登場します。8代目社長で伝統工芸士の内田さんに、お話を伺いました。
―― 初出展いただきありがとうございます。まずは、漆琳堂について、そして越前漆器について教えてください。
漆琳堂は、今年で230年目を迎える、私で8代目の漆器メーカーです。漆器は、大きく分けると木地、下地、塗り、加飾の分業で製造されます。弊社は漆を採取する職人だったのが、150年前の高祖父の代から塗りの工程に特化して引き継いできました。福井は日本最古の漆器産地で、聖徳太子の祖父にあたる継代天皇に、冠の修復と一緒にお椀を献上したのがはじまりなんです。湿潤な風土も相まって、大切な伝統工芸として、長く続いています。料亭や鮨屋で漆器を見かけることも多いと思いますが、その全国シェアの８割を越前漆器が占めているんです。業務用漆器を主力に展開するため、漆器の丈夫さが特長です。
―― 内田さんは、伝統工芸士として活躍するだけでなく、福井県のものづくりを紹介する工房見学イベントRENEWを主催し、4万人を集客するなど、産地を盛り上げる活動も精力的に行っています。その理由はどんなところにあるのでしょうか？
最初の頃は、自社のことしか考えきれていなかったんでですが、漆器に関わるみんなが残らないと分業制の漆器は成り立たない。 全員で底上げしていかなきゃいけないと思い、産地の知名度を上げる活動に臨んできました。 イベントを主催したり、ものづくり系の展示会に参加したり、いろんな人と手を組んで越前漆器を盛り上げていってます。
―― さらに、2009年には自社ブランドを設立を設立しています。食洗機対応の漆器などが人気を集めていますが、設立のきっかけは？
ちょっと不思議な答えになってしまいますが、すごく時間があったんです（笑）。 ある時にでた催事で、伝統的な格式高い漆器を並べた時に、toB向けの商品ばかりだなと強く感じまして。 toC、一般の生活者の方向けの商品を作らないと、と考えたタイミングと暇なときが重なったんです。 作り手としては、問屋さんを挟むと、自分たちの商品がどこで売られて、どんな風に使われているのかなどはどうしても分かりづらいところです。 そのため個人のお客さんから反響をもらうなんてほぼなかったのが、自社ブランドを作ってからは”愛用してます”というお手紙をいただくことも。 嬉しくて会社に飾ってます。
―― 今回はどんな商品を持ってきていただけるんでしょうか？
倉庫に眠っていた漆器をメインに持ってきます。広い工場があるからこそ、いつか陽の目を見るかなと不良品なども溜めておくんですよね。 埃よりも小さい“フシ”というゴミがあるんですが、実は、このフシを取り除く作業って、塗るのと同じくらい時間がかかるんです。 そんなフシがついた商品や、二度塗りする際にすこし漆が飛んでしまったもの、廃盤商品などをご用意する予定です。 検品には引っかかってしまうものの、どれも使う分には困らない、塗り替えや修理が可能な一生ものの器です。
―― 最後に、初出展の意気込みをお願いいたします。
普段は職人なんであまり人前に立ちませんが、この機会にお客さんとめちゃめちゃ喋ろうと思っています。気合で頑張ります。
来春には、塗りだけではなく木地の工程もできるように内製化の準備をはじめているとのこと。さらに、新卒を採用して若手職人の育成にも励んでいます。内田さんの話を聞いていると、前進を続ける担い手がいるからこそ、越前漆器は日本書紀の時代から受け継がれてきたんだと強く感じます。古代からの伝統と、その担い手の輝く姿を、ブースでとくとご覧あれ。
株式会社漆琳堂 代表取締役社長
内田徹 Uchida Toru
1976年福井県生まれ。 大学卒業後に家業である塗師屋、漆琳堂に入社。
祖父・父から漆器製造の下地・塗りを習い、 産地最年少で越前漆器伝統工芸士に認定。 2019年漆琳堂の代表となり、現在に至る。
PASS THE BATON MARKET Vol.13 開催概要
日時：2023年9月23日(土)〜24日(日) 11:00〜19:00（最終日は18時終了）
※最終入場は終了時間30分前まで／雨天決行
住所：東京都港区港南1-8-35
入場料：300円 ※小学生以下無料
URL: https://market.pass-the-baton.com/
主催：PASS THE BATON
共催：コクヨ株式会社
運営：株式会社スマイルズ
※入場までにお時間をいただく場合があります。
※最終入場は終了時間30分前まで／雨天決行
※社会情勢を鑑み、上記の情報は変更の可能性がございます。
―― 初出展いただきありがとうございます。まずは、漆琳堂について、そして越前漆器について教えてください。
漆琳堂は、今年で230年目を迎える、私で8代目の漆器メーカーです。漆器は、大きく分けると木地、下地、塗り、加飾の分業で製造されます。弊社は漆を採取する職人だったのが、150年前の高祖父の代から塗りの工程に特化して引き継いできました。福井は日本最古の漆器産地で、聖徳太子の祖父にあたる継代天皇に、冠の修復と一緒にお椀を献上したのがはじまりなんです。湿潤な風土も相まって、大切な伝統工芸として、長く続いています。料亭や鮨屋で漆器を見かけることも多いと思いますが、その全国シェアの８割を越前漆器が占めているんです。業務用漆器を主力に展開するため、漆器の丈夫さが特長です。
―― 内田さんは、伝統工芸士として活躍するだけでなく、福井県のものづくりを紹介する工房見学イベントRENEWを主催し、4万人を集客するなど、産地を盛り上げる活動も精力的に行っています。その理由はどんなところにあるのでしょうか？
最初の頃は、自社のことしか考えきれていなかったんでですが、漆器に関わるみんなが残らないと分業制の漆器は成り立たない。 全員で底上げしていかなきゃいけないと思い、産地の知名度を上げる活動に臨んできました。 イベントを主催したり、ものづくり系の展示会に参加したり、いろんな人と手を組んで越前漆器を盛り上げていってます。
―― さらに、2009年には自社ブランドを設立を設立しています。食洗機対応の漆器などが人気を集めていますが、設立のきっかけは？
ちょっと不思議な答えになってしまいますが、すごく時間があったんです（笑）。 ある時にでた催事で、伝統的な格式高い漆器を並べた時に、toB向けの商品ばかりだなと強く感じまして。 toC、一般の生活者の方向けの商品を作らないと、と考えたタイミングと暇なときが重なったんです。 作り手としては、問屋さんを挟むと、自分たちの商品がどこで売られて、どんな風に使われているのかなどはどうしても分かりづらいところです。 そのため個人のお客さんから反響をもらうなんてほぼなかったのが、自社ブランドを作ってからは”愛用してます”というお手紙をいただくことも。 嬉しくて会社に飾ってます。
―― 今回はどんな商品を持ってきていただけるんでしょうか？
倉庫に眠っていた漆器をメインに持ってきます。広い工場があるからこそ、いつか陽の目を見るかなと不良品なども溜めておくんですよね。 埃よりも小さい“フシ”というゴミがあるんですが、実は、このフシを取り除く作業って、塗るのと同じくらい時間がかかるんです。 そんなフシがついた商品や、二度塗りする際にすこし漆が飛んでしまったもの、廃盤商品などをご用意する予定です。 検品には引っかかってしまうものの、どれも使う分には困らない、塗り替えや修理が可能な一生ものの器です。
―― 最後に、初出展の意気込みをお願いいたします。
普段は職人なんであまり人前に立ちませんが、この機会にお客さんとめちゃめちゃ喋ろうと思っています。気合で頑張ります。
来春には、塗りだけではなく木地の工程もできるように内製化の準備をはじめているとのこと。さらに、新卒を採用して若手職人の育成にも励んでいます。内田さんの話を聞いていると、前進を続ける担い手がいるからこそ、越前漆器は日本書紀の時代から受け継がれてきたんだと強く感じます。古代からの伝統と、その担い手の輝く姿を、ブースでとくとご覧あれ。
株式会社漆琳堂 代表取締役社長
内田徹 Uchida Toru
1976年福井県生まれ。 大学卒業後に家業である塗師屋、漆琳堂に入社。
祖父・父から漆器製造の下地・塗りを習い、 産地最年少で越前漆器伝統工芸士に認定。 2019年漆琳堂の代表となり、現在に至る。
PASS THE BATON MARKET Vol.13 開催概要
日時：2023年9月23日(土)〜24日(日) 11:00〜19:00（最終日は18時終了）
※最終入場は終了時間30分前まで／雨天決行
住所：東京都港区港南1-8-35
入場料：300円 ※小学生以下無料
URL: https://market.pass-the-baton.com/
主催：PASS THE BATON
共催：コクヨ株式会社
運営：株式会社スマイルズ
※入場までにお時間をいただく場合があります。
※最終入場は終了時間30分前まで／雨天決行
※社会情勢を鑑み、上記の情報は変更の可能性がございます。
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