INTERVIEW

伝統的工芸品の「昔と今」に新たな光を。
|Vol.9 出展者インタビュー|


2022年10月8日(土)~9日(日)の2日間、コクヨ東京品川オフィス「THE CAMPUS」で開催されるPASS THE BATON MARKET。第9回目となる今回は、全55ブランドのうち29ブランドが新たな顔ぶれとなります。
今回は初めての試みで、一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会とのタッグにより、伝統的工芸品に光を当て直す取り組みが実現しました。代表理事の原田元さんにお話を伺いました。

 「伝産協会」とは?

――この10月、PASS THE BATON MARKET Vol.9の出展企業欄に、「デデデデデンサン」という文字が加わりました。聞き慣れないこの響きの正体こそ、一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会、略して伝産協会の8事業者による合同出展ブースです。企業単位以外での出展は初の試みです。

「伝産協会は、伝産法という法律に則り、国が認めた歴史文化を持つ工芸品を産業面から支援する団体です。昭和40年代、いわゆる高度成長期の真っ只中で大量生産が進んでいた頃、日本の伝統的ないいものを残そう、このままじゃいかんとなったんです。全国の伝統的工芸品の産地やそれを生業とする事業者や職人を守り、振興するために法が制定され、それを推進していく立場として設立されました。現在、国が指定する伝統的工芸品は全国に237品目。私たちは販売会や展示会の開催、後継者の育成・支援、伝統工芸士の認定や工芸品のPRなどを展開しています」。

 なぜ、PASS THE BATON MARKETに?

――伝統的工芸品と言っても、北から南、業種も様々です。

「私はもともと陶磁器業界におりますけれど、代表として様々な声を聞いていますと、織物・染色・金工・木工・漆器・仏壇仏具・人形などそれぞれの業界・産地で近しい悩みを持っているんだなと。例えば、産業やマーケット自体の縮小化ですとか、売り場の変化へどう適応するか。若い職人さんの新しい挑戦をどんな形で伝えるか。それらは、私たちだけで考えていてもだめで、とにかく生活者の方との対話が大事だと思っています。今回出展に至ったのは、伝統的工芸品のこれまではもちろん、“今“をもっと見てほしいと思ったから。そして、若い職人たちと生活者の皆さんを繋ぎたかったからです。」

 職人が直接語ります

――今回出展するのは、イシオカ工芸(青森・漆塗)、柿沼人形(埼玉・木目人形)、岩田三宝製作所(愛知・神具)、深田木工所(愛知・木魚)、弘誠堂(京都・表具)、竹中銅器(富山・銅器)、井上絹織株式会社(福岡・織物)、髙取焼宗家(福岡・焼き物)と多種多様な8つの事業者が出揃いました。

「このマーケットに参加する作り手たちは、皆、新たな挑戦をしているので見ていってほしいんです。伝統工芸品って聞くと高尚だとか、飾るものというイメージがあると思いますけど、私たちはとにかく“使って”ほしいんです。生活の中に当たり前にあって、贈るだけでなく自分のためにも使ってみたりしてほしい。伝産法にはね、こんな条文があるんです。“国民の生活に豊かさと潤いを与える”。どの時代でも私たちはそう在りたい。だから、私たちは出向きます」。


一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会  代表理事 原田元さん

伝統的工芸品の1つ、伊万里・有田焼を生産する宝泉窯の代表取締役社長。2021年より伝産協会の代表理事を務める。「幅広い世代に伝統的工芸品の魅力を伝えたい」と語る。

伝統工芸に光を当てる「デデデデデンサン」




 デデデデデンサンとは

デデデデデンサンは伝統的工芸品に光を当て直すプロジェクトです。 これまで伝統的工芸品は、脈々と受け継がれてきた歴史、時を経て培われる精巧な技術、 古来から変わらない素材など、その「伝統」に重きを置いて取り上げられてきました。 だから、なのか「伝統的工芸品」という言葉は一種の重みをまとっています。
でででででも、ちょっと待ってください!伝統的工芸品の価値ってそれだけでしょうか? 伝統があるのはもちろん素晴らしいことだけど、 それがかえって生活者との間に距離を作っているかもしれません。 工芸品には、ほかにもきっと魅力があるはず。 スポットライトを少しズラして一見関係のないところに目を向けると、 これまでとは違った魅力が見えてきます。

作り手から滲みデる個性
技術を探求して捻りデてきた創造性
研鑽により抜きんデた技術力
過去を未来につなごうと、溢れデる想い

本プロジェクトでは生活者にとっての伝統的工芸品の価値をもう一度捉え直します。

Vol.9では、デデデデデンサンプロジェクトから8つの事業者が出展します。津軽塗のお椀 や高岡銅器の香炉や茶器、さらには三方や木魚に至るまで日ごろなかなか触れることのない 工芸品やアイテムがずらりと並びます。全国各地で長年受け継がれてきた伝統を守りながら も、その技術力を生かし現代の暮らしに馴染むものづくりにチャレンジされている事業者さ んたちが会場でお待ちしています。パスザバトンマーケットならではの視点でセレクトした 今の暮らしに生きる伝統的工芸品をご覧ください。

【8事業者一覧】
・江戸木目人形 / 柿沼人形
・三方(尾張仏具) / 岩田三宝製作所
・木魚(尾張仏具) / 深田木工所
・京表具 / 弘誠堂
・高岡銅器 / 竹中銅器
・高取焼 / 高取焼宗家
・博多織 / 井上絹織
・津軽塗 / イシオカ工芸
PASS THE BATON MARKET Vol.9 開催概要

日時:2022年10月8日(土)〜9日(日) 11:00〜19:00(最終日は18時終了)
※最終入場は終了時間30分前まで
住所:東京都港区港南1-8-35
入場料:300円 ※小学生以下無料
URL: https://www.pass-the-baton.com/news/15507/
主催:PASS THE BATON
共催:コクヨ株式会社
運営:株式会社スマイルズ
協賛:全日空商事株式会社
※社会情勢を鑑み、上記の情報は変更の可能性がございます。

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