INTERVIEW

特別鼎談:米富繊維 ✖ 西海陶器 ✖ PASS THE BATON
「祝Vol.10!これまでの歩み、これからの企み」
|Vol.10 出展者インタビュー

その技術力と感度の高さから絶大な信頼を得る山形のニットメーカー・米富繊維。 波佐見焼の伝統に時代性を取り入れ、国内外へ積極的に発信する商社・西海陶器。 本展Vol.1から参加している2企業に、どのような想いでPASS THE BATON MARKETへご参加いただいているのか、これからの展望をあわせてお話を伺いました。


 鼎談メンバーのご紹介


米富繊維株式会社 代表取締役社長
大江 健 (おおえ けん)
2007年入社。2010年米富繊維初となる自社ブランドCOOHEM(コーヘン)を立ち上げ、2022年山形の工場内にYonetomi STOREをオープン、日本のファクトリーブランドの可能性を追求している。


西海陶器株式会社 代表取締役社長
児玉 賢太郎(こだま けんたろう)
2009年に入社。中国支社や東京西海を立ち上げ、2016年より現職。「ヒトとモノの架け橋となり人々の暮らしを豊かにしたい」をモットーに波佐見焼の伝統をつなぐ活動に取り組んでいる。



PASS THE BATON MARKETディレクター
休場 瑞希(やすば みずき)
パリで服飾の専門学校を卒業。帰国後はスタイリストのアシスタントなどを経験したのち、スマイルズに入社。店舗勤務を経て現在はPTBMディレクターとしてイベントを統括している。


 店舗時代からの、ユニークな信頼関係



休場
休場

皆さんとは、我々が丸の内・表参道・京都祇園で店舗を開いていた時(*)からの長いお付き合いになりますね。 PASS THE BATON(以後、PTBと表記)というブランドが立ち上がったのは、2009年のことでした。
(*)2009年にセレクトリサイクルショップとして誕生し、丸の内・表参道・京都祇園へ出店。現在はクローズしている。



大江
大江

私はファッション業界に入って長いのですが、PTBのお店ができた当時ってシーズンが過ぎた商品が店頭に並べてあるとか、使い手の物語がタグに書いてあるということが衝撃的でした。2012年、ミタケボタンさんの紹介がきっかけで、PTBの皆さんと繋がりました。


児玉
児玉

僕らはもともとamabroさんの商品で間接的に携わっていて、PTB京都祇園店をオープンされる際に、器を探しに僕らの倉庫を見に来られたのが取引スタートのきっかけでした。 その時から「PTBについては、倉庫の中で”セルフ”で品を探してもらう」という独特な関係性が続いています(笑)。 2018年の『デッドストック陶器市』では、祖父や父の代に仕入れて、倉庫に眠っていた焼き物に光を当ててくださったんですよね。お客さまからものすごく反響をいただけたことに、とても驚きました。




大江
大江

僕らは「残糸を使って感度の高い商品を創ってみませんか?」とお声がけをして、取り組みをご一緒してきました。 実際に作ってみると、制約がたくさんあって想像以上の大変さでした。 リサイクル糸を使った製品開発は昨今増えていますが、「残糸を使った本気の商品づくり」をあの時代に一緒にさせてもらった経験は今に生きています。




 「規格外品の蚤の市」という構想


Vol.1は、戸田建設の協力により、解体前のオフィス空間で開催されました


休場
休場

2019年にPTBMが立ち上がり、Vol.1では戸田建設さんの社屋での開催でした。 当時の想い出はありますか?


児玉
児玉

B品やD品ってものづくりの過程で必ず直面する課題ですが、この企画なら新たな息を吹き込んでくれる確信もあって。 「ぜひ参加したいです!」ってお伝えしたのを今も覚えています。




大江
大江

当時、弊社はイベントってあまり出展しないスタイルだったんです。 PTBとは何度もイベントも取り組みもしていたので、そこの安心感がありました。


休場
休場

当時は店舗で働いていたんですが、COOHEMも西海陶器もお客様に語りたくなる商品ばかりでした。 マーケットで、実際に作り手のみなさんとお客様が楽しそうにお話しているのをみると、「やっぱり、直接語っていただけて嬉しい~!」って喜びがあふれます。


 作り手が自信をもって、「価値」を伝えられる場所



休場
休場

作り手の立場から、このイベントにどんな意味を感じますか?


大江
大江

PTBは店舗時代からずっと、「安いから買う」っていう場所じゃなく「価値があるから買う」という場所。 イベント規模が拡大しても、大手さんもいればインディペンデントな作り手さんもいて、あのミックス感が表参道店のあの感覚と一緒だなって思います。


児玉
児玉

メーカー側は確かな技術で作っていても、時代の流れや伝え方によって倉庫で眠ってしまう。 パスザバトン的な考え方が広がっている体感がありますし、こうしたコンセプトに共感された他の企業さんやエンドユーザーの方に出会えるのが嬉しいです。



 最近のチャレンジ、これからのチャレンジ

休場
休場

ビジネス環境が大きく変化する中で、今はどんな取り組みをされていますか?


大江
大江

最近、山形にある弊社の正面玄関と二階の会議室を工事して直営店を作りました。 山辺町は人口15000人くらいの小さな町で、目の前は空き地。デザイナーやパタンナー、うちの管理職も店頭に立っています。 山形って服屋が少なくて、競合も少ない。自分たちのブランドやものづくりの精神性を伝えるために、僕らのホームでまずは始めようと思いました。 来年の春くらいには、弊社の駐車場でマーケットをやってみたいんです。勤務者の58台分くらいの駐車場を活用して、近くの古着屋や自分みたいにUターンしてきている人たちと一緒に・・・という構想があって。 弊社のストアコンセプトは「ファッションは生活なり」。まずは地元の人たちに、その価値観を体感してもらえるようにしたいです。




児玉
児玉

コロナ禍では物流のマヒなどの影響を受けつつも、リモート勤務、社員の移住、海外メンバーとの結束などが強まったりとプラスの変化もありました。 これからに向けて動いているのは『検品』の考え方の見直しです。エネルギー資源の高騰のあおりも受けていますが、その跳ね返りをお客様に直接受け止めてもらうのは避けたい。 商品価値を自分たちで見つめ直すタイミングが来ていると思っています。手に届かない商品は、文化として続かない。 米冨さんも弊社も、戦後の日本でいいものづくりをしようという気概で始まっていますし、次の時代にいいかたちでバトンを渡したいですよね。


大江
大江

共感します。 あと、西海さんのサイトを拝見して気になったのは、OYANEという取り組みです。 これってさきほどの駐車場での構想のヒントになる気がします。


児玉
児玉

西の原という地域で、メーカーの跡地を買ってショップなどを作ったのですが、町内をもっと周遊してほしいなあと思った時に、うちの父が「町の中にアイコンを作ろう!」といって大きな屋根を作ったんです。 県外からのお客様も本当に集まる拠点になりました。




大江
大江

屋根からはじめて、地域の人たちと取り組みができるってとても興味深いです。 東京じゃなくてもできることってありますね。



 PTBMのこれからを一緒に妄想する

休場
休場

私、PTBMでいつかやりたいことを勝手にいろいろ考えていて。 米冨さんのブランド冊子で紹介されている「米冨繊維のものづくりのレジェンド」とお話をできるブースを設けたり、波佐見の拠点をお客様にリアルにお見せしたりしたいです!


大江
大江

PTBMは全国ツアーという感じで、それぞれのエリアで巡業してほしいですし、これからも継続的に参加したいと思っています。 生産活動って決してネガティブなことではないので、前向きなものづくりをするためにもこの取り組みが長く続いてほしいですね。


児玉
児玉

全国ツアー、いいですよね。みんなで巡業!僕らの地域でもぜひやってほしいです。 その土地のおいしいものも食べられるのもいいですね(笑)。 PTBさんとの取り組みはいつもやったことがないことばかりで、僕らも楽しくて刺激になっています。これからも「新たなムチャぶり」をお願いします。


休場
休場

おまかせください!そして、これからも末永くよろしくお願いします!(完)





PASS THE BATON MARKET Vol.10 開催概要

日時:2022年12月10日(土)〜11日(日) 11:00〜19:00(最終日は18時終了)
※最終入場は終了時間30分前まで/雨天決行
住所:東京都港区港南1-8-35
入場料:300円 ※小学生以下無料
URL: https://www.pass-the-baton.com/news/16005/
主催:PASS THE BATON
共催:コクヨ株式会社
運営:株式会社スマイルズ
協賛:福島県商工会連合会
※社会情勢を鑑み、上記の情報は変更の可能性がございます。

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