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PASS THE BATON MARKET Vol.5 イベントレポート
倉庫で眠る”モノ”に光をあて、思いのバトンを繋いだ2日間。



これまで企業やブランド、産地が抱えている“もったいない”や“困りごと”に向き合い、世の中に紹介していく場として2019年にはじまった『PASS THE BATON MARKET』。大量にモノを作って消費していた時代から、世の中は目まぐるしく移り変わりました。Vol.5となる今回は「日本の倉庫を空っぽにしよう!」を合言葉に、衣・食・住、さまざまなモノづくり企業の倉庫に眠っているデッドストックや規格外品など、『PASS THE BATON MARKET』だからこそ出逢えるモノが日本各地から集まります。

会場はコクヨ東京品川オフィス「THE CAMPUS」。コンセプトに「街に開かれた、”みんなのワーク&ライフ開放区”」を掲げる場に、これまでにない蚤の市の空間が生まれました。




会場には、全国から業種・業態を越えて52のブランドが集まり、来場者数は2日間で5,000人を超え盛況のうちに終えることができました。今回は「アクタス」や「天童木工」といった家具・インテリアの企業が加わり、諸事情によって販売機会を失ってしまったインテリア家具・雑貨類が集まるインテリア特集のエリアを拡大。
さらに、新企画として「食」のポップアップエリア『パスザバトンの食料品店』を展開しました。見て、触れて、食べて、モノづくりの背景や物語と出会う2日間。さまざまな形で“もったいない”を楽しく解消していく『PASS THE BATON MARKET』の出展企業をピックアップしながらご紹介します。




■旬八青果店

農家さんが大切に育てたおいしい青果をはじめ、バイヤーが目利きした肉や魚、全国各地の農産加工品など、「新鮮・おいしい・適正価格」で都市の食卓へ提供している都市型八百屋です。今回は、2階特設コーナーにて旬の青果やこだわりの加工品などをご用意いただきました。




“賞味期限が近いけど、まだまだ美味しい”食品や“規格外品だけど、おいしさだって規格外”な野菜や果物が大集合!規格にはまらない、過熟など様々な理由で流通が難しい野菜や果物、産地のこだわりの加工品など、一つひとつにストーリーがあります。なかには正規品と規格外品を陳列して選んでもらうなど、新しい見せ方にもトライ。「今は梨が美味しい季節。皮に黒い斑点があるだけで中身は正規品と同じ美味しさです。まずはご自身で規格外品をお値打ちで試してもらい、気に入ったらギフトに正規品を贈ってみようといった、新しいお買い物の体験になればと思います」



パスザバトンの食料品店には、他にもこだわりの食品をあつかう参加企業から個性豊かな美味しいものが集まりました。




ジュースや調味料、冷凍スープの他にも茶葉やスイーツなど食卓を彩る食料品の数々。思わず目移りしてしまいます。







■天童木工

天童木工は在庫を持たない木製家具メーカーです。それでも廃番や仕様変更などにより倉庫に眠っているものがあるのが現実です。今回はショールームの展示品や、廃盤になり展示ができなくなったものなど僅かに眠っていたものが並びます。「本展が目指す“倉庫を空っぽに”が本当にできるのか、私たちも一緒にチャレンジしたいと思い、出展しました。ご自宅で過ごす時間が増えて、よい椅子をお探しのお客様が天童木工を目指して来てくださいました」




「こうしたイベントへの参加はあまりしておらず、そもそも人員の数にも限りがあり、通常営業もしながらでは難しいと感じていました。パスザバトンの箕浦さんが熱心に声をかけてくださったのが印象深く後押しされて出展しましたが、良い機会になりました」





■BEAMS

2回目の出展となり、今回は店舗にて実際に使用されていたディスプレイ備品や家具、陶器やテキスタイルなど、倉庫に眠っていた価値あるモノや、少し傷があり通常販売できないウェアなどが並びます。「前回出展したのをきっかけに、パスザバトン(スマイルズ)の方々が倉庫見学をしたいと言ってくださって。最初はやはり抵抗がありましたが、踏み込んだコミュニケーションを取れたと思います」




「こちらは店舗でディスプレイに使われていたチェアです、尖ったデザインゆえに手に取りづらいかもしれませんが、確かな価値があるものです。店舗什器は本来であれば売り物ではないため、倉庫に眠りつづけるはずでしたが、職人によるものづくりの良さや、モノ自体のストーリーをお話してご購入に至りました」



倉庫で眠ったままの価値あるものが、新しい居場所を見つけていく。既存の商流では起こり得ないエピソードを伺うことができました。

■Layout

Layoutではハンドメイドラグをはじめ、手作りの一点物を多く扱っています。今回はイランから買い付けた個性あふれるラグの中から特に個性派のラグをご紹介。また、出番を待ちわびていたリメイクラグやクッションカバー、雑貨などが並びます。




「ラグやクッションカバーなど日本でデザインして発注した際に、少しイメージと違ったものや柄がズレてしまったものなど、見方を変えるとユニークな個性あるアイテムをここぞとばかりにご紹介させて頂きました」



「パスザバトンギャラリーからのご縁で今回のマーケットにお誘いいただきました。今回はインテリア特集のエリアがあったことでたくさんのお客さまにご覧いただける機会があり、みなさん宝探しのように目をキラキラさせて楽しんでくださり、あっという間にラグの山がなくなりました」

■土屋鞄製造所

土屋鞄製造所はランドセル職人が立ち上げた工房が発祥の革製品ブランドです。今回は、少し傷がついてしまった革製品やサンプルとして使用していたランドセルなど、土屋鞄の中で眠っている商品が並びます。また期間限定のキャンペーンでオンラインと店舗で受け付けていた、ご家庭で使わなくなった土屋鞄のレザーバッグの引き取りも行われました。




「マーケットのテーマに共感して来場されたお客様に知っていただくきっかけになりました。最近はお出かけする機会が減って、鞄を使う頻度も減ってしまったため、たくさん使ってくださる人へ譲りたいというお客様からの持ち込みが増えています。長く使えるものをお作りしているからこそ、こうした取り組みの幅が広がるのだと感じます」




■edain

発酵人・田上彩とモデル・森星を中心にフードトラックを通して、作り手の想いと食卓を繋げ、ロスを最小限に地産地消・サスティナブルな食のあり方を目指したプロジェクト。




マーケットでは発酵食品を使ったスペシャルメニューがラインアップ。次世代の”エデンの園”を共に想像し、身も心も喜ぶ素材が選ばれています。限定40食を求めて、開場後すぐに足を運ぶ人も。



一粒一粒がふっくら、つやつやと輝くおにぎりと、まるでカフェラテのようにふわふわのフォームが口当たりなめらかなお味噌汁で、おなかも心も満たされました。
 ワークショップ

会場では2日間にわたって、様々なワークショップを開催しました。
コクヨではオランダ発の「プレシャスプラスチック」のマシンを使ってプラスチックを再生し、定規を作るワークショップを開催。




材料となるプラスチックはコクヨのファイルを製造する際に工場でどうしても出てしまう端材が使われています。


色と形を決めたらマシンで実際に作っていきます。特別な動力がなくても使えるよう設計されたマシンでグッと押し込んでいくと、あっという間に成形されました。





型から抜いた定規に、繰り出し式のグラフィックマーカー『パスタ』で目盛りに色を乗せて完成です!


100弱の枠はすぐに定員が埋まってしまう盛況ぶり。ワークショップを通して、コクヨ社内でもプラスチックの再活用についての可能性や理解が深まったそう。
 キッズコーナー

紙商社「竹尾」とコクヨ、familiarの提供によるキッズコーナー。生産過程で発生する紙の端材を大きなキャンバスにして、子供たちがカラフルなペンで縦横無尽に描きます。正面も後ろも、正解もない巨大作品はどんな色が集まったのでしょうか。




 館内RADIOとインスタライブも

会場内では、ラジオブースのようなコーナーを設置。出展企業の方に出展アイテムやその背景などのお話を伺いました。




また、「これからのものづくり」「食と未来」「サスティナブルな生き方」を切り口に、出展企業をはじめ、先進的な取り組みを実践する方々をお招きし、インスタライブを実施。アーカイブはPASS THE BATONのオフィシャルアカウント@passthebaton_officialのIGTVから視聴いただけます。



Vol.5で初めて企画した「パスザバトンの食料品店」については、改めてレポートし、企画の舞台裏に迫ります。こちらもぜひお楽しみに!




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