INTERVIEW

CAMPERがプレイフルに進める、環境との歩み


PASS THE BATON MARKET Vol.8の開催とあわせて、特別インタビューを企画しました。「日本の倉庫を空っぽにしよう」をテーマに共感して集まった参加企業は54にものぼりますが、その企業の数だけ、それぞれの志と想いがあります。今回は、初出展となる「CAMPER」から株式会社カンペールジャパン代表取締役社長 高下 泰幸さんにお話を伺いました。

この春、本展に訪れたカンペールジャパン社長の高下さんは、目を輝かせてスタッフに感想を伝えてくれました。「こんなに華やかな雰囲気なんですね。出会った品物を有効活用して大切にしたい!というお客様の前向きなエネルギーが溢れているのに驚きました」。”日本の倉庫を空っぽに”というコンセプトへの深い共鳴のもと、初出展が決まりました。

CAMPERの歴史は、イギリスで優れた靴製造の技術を学んだ男が故郷のスペイン・マヨルカ島へ戻り、1877年に靴づくりを始め、1975年にその孫がブランドとして創設したというもの。「僕たちがCAMPERを語る時、プレイフル”遊び心”という言葉を一番に使います。いい革で、いい製法で、性能の良さは折り紙付き。その上で敢えて、性能の良さを前面に押し出すのではなく、地中海に浮かぶ島ならではのインスピレーションを得たプレイフルな靴であることをアイデンティティとして伝えています。最たる商品が、左右で異なるデザインのTWINSシリーズです。靴って、左右違うデザインでも良くない?という提案を重ね、それが”らしさ”になりました。”歩くこと”って、通常はただの移動時間のように思うけれど、明るい靴を履くことで楽しく幸せに歩ける。気分が上がったり、街への発見があったり。我々が提供したいのはそんな価値です」。


現在日本では全国50店舗を展開。グローバルで商品を生産する中で、日本の厳しい検品基準で商流から外れる商品があることは、以前から課題だった。「サイズ欠品はアウトレットで販売できますが、規格外品は行き場がなく本当に残念な状況で。規格外品にも十分に価値があるので、光を当てられる方策を探していました」。

豊かなクリエーションを続けるために、ものづくりによる環境負荷を減らそうとアクションを重ねており、今季は98%の商品でサステナブルな原料を使用。靴ひもはリサイクルPETから作ったり、今年4月にオープンした福岡の新店舗の内装建材は紙と木だけで組成しています。


新作サンダル「KOBARAH」は単一素材の樹脂で立体成形するため製造工程でのゴミがゼロに。さらに、使用後は溶解すれば100%リサイクルできるなど、アプローチは鮮やかです。


次なる課題は、使用済み商品の回収と循環だと言います。
「グローバルブランドであるからこそ、環境との共生について各国の叡智を結集させようとしています。CAMPERには、サステナビリティについて、【A LITTLE BETTER, NEVER PERFECT.】というテーマがあるんです。私たちだって完璧なブランドではないけれど、それでも何か選択をする時、ちょっとでも良くする選択を取る。そうやって一歩ずつ、楽しく進んでいます」。


株式会社カンペールジャパン
代表取締役社長
高下 泰幸

【プロフィール】
アンダーアーマー、アシックス、ホットヨガLAVAなどを経て現職。
スポーツもファッションも「人生を豊かにする」という提供価値は変わらないと語る。


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