INTERVIEW

特別鼎談:マルニ木工 ✖ カリモク家具 ✖ 天童木工
「倉庫を空っぽにできたら何をする?会議」

日本を代表する家具メーカー3社が Vol.9に一挙集結!記念すべきこの機会に3社鼎談をさせていただけることになりました。 題して「倉庫を空っぽにできたら何をする?会議」。この週末に開催が迫るタイミングに、必読の特別インタビューがここに実現しました。

 鼎談メンバーのご紹介


株式会社マルニ木工 代表取締役社長
山中洋さん(やまなか ひろし)
営業職を経て様々な機能改革に従事し、「MARUNICOLLECTION」「MARUNI60」など、外部デザイナーとの企画を積極的に推進。2021年に社長就任。


カリモク家具 株式会社 取締役副社長
加藤 洋さん(かとうひろし)
購買や資材調達、製造まで管掌し、「Karimoku New Standard」などカリモク家具の新しいコレクションを統括。リブランディングに取り組む。



株式会社 天童木工 取締役企画部長
森山 馨さん(もりやま かおる)
設計や営業から大阪支店長を経て企画部長に。以来、80周年企画など多くのプロジェクトを統括。圧密加工技術による国産材利用促進にも参画。

 Q.PASS THE BATON MARKET参加のきっかけは?

マルニ 山中: 我々は基本的に受注生産ですが、新製品の展示会や催事の展示品は行き場がなかったんです。 その時に、PTBMの取り組みの話を聞いて、Vol.6に参加しました。出てみて、アプローチ次第で、まだまだいい形で届けられるんだと感じましたね。

カリモク 加藤: Vol.6の直後に、マルニの武くん(現会長)から熱~いメールを受け取りまして、 Vol.7で出展しました。僕らも受注生産なので、展示会向けに作った展示品もそうですし、当社の場合、自社の研究目的で作った製品があるんですよね。 日本の里山の木の特性を研究するために作ったまさに”一点もの”。そういった商品を、PTBMでは出させていただいています。

天童木工 森山: 我々もほぼ受注生産で、倉庫に眠る在庫は非常に少ないですが、作り手と生活者がつながるお祭りのような楽しい取り組み、 メーカーとしてはなかなか貴重な機会だなと思って参加しました。


Vol.6ではマルニ木工と天童木工がブース出展。「この商品も持ってきてくれたんですか?」というお客様の声も。


Vol.7にはカリモク家具のキッズサイズのチェアが文字通りずらり。実際に座って楽しむお子様たちの姿も。


 Q.一生活者として、なかなか想像しきれないのですが、製造過程にはどんな端材があるんでしょうか?
また、どのような活用をなさっていますか?



天童木工 森山: さまざまな工程で木屑が出るんですが、ボイラーの熱源にして、加熱の際に使うなど、工場の中で循環させます。 今の時代だからやっているというより、昔からのやり方。今それ以外の端材を何かに他の製品にしようと思うと、 職人が作るので、どうしてもいいお値段にはなってしまうのが難しいポイントです。

マルニ木工 山中: そうですね。やっぱり、木の固まりを加工していくので、どうしても端材は出ますよね。 歩留まりを上げてもゼロにはならない。我々は小さいものはソファの内部の構造材や、最終的にはボイラーの熱源に使います。 あとは端材を使ったワークショップをやっていて、カッティングボードとかバターナイフを作ったり。 端材を使った商品の製品化は、量産ができないことが多く、実現ハードルが高いんです。

カリモク 加藤: 僕らも近いですね。皆さん一緒だと思うのですが、 僕らのようにいつも木に触れる人間は木を捨てることに常に罪悪感がつきまといます。


木が板になるまで、どれくらいの人が関わり、どれくらいの時間がかかっているのか。 我々は端材を使用した製品の商品化に取り組んでいます。石巻工房とのコラボレーションである「石巻工房 by Karimoku 」の 「AAスツール by Karimoku」などで細かい部品に端材を使っています。デザインとものづくりの工夫で付加価値を創り、 経済的な循環を回るようにしたい。
また、自分たちでプロダクト作るだけでなく、 資生堂さんの「BAUM」というブランドのプロダクトパッケージに使われるといったような、コラボレーションも進めています。


今回のPASS THE BATON MARKET Vol.9では「アニマルカリモク」という、家具の端材をあるがままで使ってもらうワークショップを展開させていただきます。

  Q.ものづくりの持続性で考えることは?

マルニ木工 山中: やっぱり、作り手がいいものをつくること、使い手に長く使ってもらうってことが大事だと思います。 家具の良さだと思うのですが、今でも修理のご依頼が多い。突き詰めたら、こういうことが一番エコにつながる。 世代を超えて長く使いたい、次の世代に引き継ぎたいと思えるものをつくり続けることが私たちのすべきことだと。


カリモク 加藤: 家具とは、身近な耐久消費財ですよね。人生でもっとも長く付き合うもの。 日本には1,000種類を超える樹種がありますが、家具に使えるのはほんの一握りです。 僕らは、森林の生態系のバランスをみながら、家具を作ることを大切にしています。 森や里山に、人と自然の共生関係をどう作れるかは永遠の課題ですね。


天童木工 森山: 根底にある気持ちはここにある皆さんと基本的に同じです。 長く使えて、耐久性が高く、メンテナンスも想定した上での美しい家具を作っていきたいと思っています。 もちろん、新しい家具も買っていただきたいのも山々ですが、長く使う中で、張り替え・塗り替えができるのも家具の面白み。 国産材については、針葉樹を家具にするという取り組みも続けています。


  Q.倉庫がからっぽになったら、何をしたいですか?

マルニ木工 山中: 今、我々の工場は広島の山奥にあって。緑に囲まれているんですけど、 地域の人と一緒に何かにやりたいなと思っていて。それこそ、近くに湯来町(ゆきちょう)っていう場所があって、 温泉が出るんです。マルニ木工の100周年までもう少しなので、カフェもそうだし、社員食堂とか、 工場の皆が仕事の帰りにひとっぷろ浴びて帰れたらいいなと思ったり。僕自身が温泉とかサウナが好きなのもありますが(笑)。 こう考えると、テンション上がりますね。

カリモク家具 加藤: 洋くん?業務連絡なんですけど、ぜひ倉庫をからっぽにしてください(笑)。 温泉大好きです。僕らの場合は、倉庫がからっぽになったら・・・、これは完全に僕の趣味ですけど、 様々な種類の木材で倉庫を満タンにして研究したいです。木材オタクなので!

天童木工 森山: 弊社はアーカイブがたくさん集まっているんですけど、 一堂に並べてみるっていうことがなかなかできなくて。倉庫に手を加えてみて、アーカイブ展示をやってみたいですね。

カリモク家具 加藤: 素敵です。マルニさんで温泉に入ってからの、天童さんのミュージアム。夢がありますね! さあ、あとはPASS THE BATON MARKETで、みなさんがんばりましょう!

【訂正とお詫び】

PASS THE BATON MARKET会場配布のタブロイド紙において、一部誤植がございました。

・誤:「石巻工房 by Karimoku 」の「Aスツール by Karimoku」
・正:「石巻工房 by Karimoku 」の「AAスツール by Karimoku」

お詫びとともに、訂正させていただきます。そして、生まれた背景も含めて学びの多い素晴らしいプロダクトなので、こちらのサイトもご参照ください。
https://ishinomaki-lab-karimoku.com/jp/products/aa-stool-by-karimoku

PASS THE BATON MARKET Vol.9 開催概要

日時:2022年10月8日(土)〜9日(日) 11:00〜19:00(最終日は18時終了)
※最終入場は終了時間30分前まで
住所:東京都港区港南1-8-35
入場料:300円 ※小学生以下無料
URL: https://www.pass-the-baton.com/news/15507/
主催:PASS THE BATON
共催:コクヨ株式会社
運営:株式会社スマイルズ
協賛:全日空商事株式会社
※社会情勢を鑑み、上記の情報は変更の可能性がございます。

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