INTERVIEW

念願の再会!パスザバトンの原点がここに(クリエイティブユニット)KIGI×(ニューサイクルコモンズ)PASS THE BATON

Vol.13 出展者インタビュー

PASS THE BATON(以後PTBと表記)が14年目を迎える本年、ブランド創成期の陰の立役者『KIGI』がオリジナルブランド「KIKOF」で初出展。 その記念に、KIGIのお二人とPTB責任者・野崎の対談が実現しました。


 プロフィール



植原亮輔 株式会社キギ代表 クリエイティブディレクター・アートディレクター
渡邉良重 株式会社キギ アートディレクター・デザイナー

企業やブランドのアートディレクションの他、作品を制作し発表。自在な発想と表現力でジャンルを横断しながら活動する。東京・池尻でギャラリー&ショップ「OFS.TOKYO」を運営、2022年、アイウェア「TWO FACE」を含む新たなプロダクトレーベル「ASSEMBLEDISASSEMBLE」をスタート。ほぼ日のファッションブランド「CACUMA」の洋服のデザインを2013年から手がけている。プロダクトブランド「KIKOF」のプロジェクトで東京ADCグランプリ受賞(2015)、代官山ヒルサイドフォーラム「all is graphics」展(2022)。


野崎亙 株式会社スマイルズ 取締役社長兼CCO

2011年、スマイルズ入社。自社事業のブランディングやクリエイティブの統括に加え、入場料のある本屋「文喫」や東京ミッドタウン八重洲内「ヤエパブ」など、外部案件の新規事業開発やコンサルティング、プロデュースを手掛ける。クリエイティブ本部の本部長、PASS THE BATONの事業部長を歴任し、現在は取締役社長兼CCOとしてPASS THE BATONをはじめとするスマイルズ自社ブランドの責任者も務める。
 もうひとりの育ての親

野崎
野崎

KIGIさんにはPTBの初期からアートディレクションをお願いしていました。そのはじまりは当時のスマイルズ社長・遠山によるロゴの制作依頼でしたね。


植原
植原

遠山さんがある日、飲み屋かどこかでご自身で描いたスケッチを僕らに見せて、このロゴで行こうと思うけどどうかな?と。ただ、明らかにバトンの持ち方が変だったので、ちょっと整えてみたいということになって。作業してると僕らにも思いが芽生えてきて、ロゴや包装紙などをプレゼンさせてもらいました。それをすごく気に入ってくれて。そこからですね。




野崎
野崎

PTBの世界観は、良重さんの穏やかな柔らかさと植原さんの研ぎ澄まされた洗練さが同居するKIGIさんだからこそ実現しました。


渡邉
渡邉

バトンを渡すという軸をぶらさずに宣伝物は写真表現、商品まわりはイラストを用いて植原と私の特徴を活かしながらデザインしました。




野崎
野崎

そのおかげで、統一性のある世界観がうまれたんですね。その世界観を象徴するPTB表参道店(2021年に閉店)の壁に描いていただいたイラストが懐かしいです。最初のブランド構築のみならず、その後のプロダクト開発まで、今振り返ると無茶ぶりもたくさんしたなと…。


植原
植原

いろんなパスがきて、打ち返していくのは楽しかった。ブランドアイデンティティやパッケージというところまではあるけど、商品開発までがっつりやることはあんまりなかったので。PTBはもともと品物と持ち主の想いを一緒にバトンするというコンセプトですが、そのうち企業のもつ端材などを使ったプロダクトを手掛けたり、今ではマーケットというプラットフォームに変わっていって。面白い進化を続けてますよね。




野崎
野崎

その進化のターニングポイントは、KIGIさんと作った端材を用いたアイテムなんです。あまりに売れすぎて、ある日パートナー企業さんから「端材が在庫切れです」という電話がかかってきて。そのとき倉庫が空っぽになったらビジネスそのものが終わることに気づき、自分だけじゃなく日本中の素晴らしいものづくりをしている事業者さんと組むことにしたんです。振り返ると、転機にはいつもKIGIさんがいました。




 実験を続けるクリエイティブユニット

野崎
野崎

あらためて、KIGIさんってどんな活動をされているのですか?


植原
植原

グラフィックデザインを軸に様々なクリエイションを手がけています。 自社プロジェクトとしてのプロダクト制作やギャラリーショップの運営、作品制作などは、すべて実験だと捉えて活動しています。


渡邉
渡邉

でも、最近野崎さんがハマりかけてるというOFS.TOKYO(池尻大橋にてKIGIが手掛けるギャラリー兼ショップ)で毎週金曜に行う角打ちも、みんな一生懸命にやってます。楽しみながらも、どうやって人を呼ぼうかなと考えていたり。




植原
植原

そうだね。クライアントワークはしっかり考えて、責任もって取り組む必要があるけど、自分たちのクリエイションの責任はもちろん自分たちにある。 だからこそ、気楽に遊ぶように、でも必死に真剣に取り組んでいます。


野崎
野崎

クライアントワークも忙しい中で、両立できているのが不思議です。


渡邉
渡邉

ふたりだけではできないんで、スタッフの支えがあってこそですね。





 再会は、ものづくりを見つめる場で

野崎
野崎

「KIKOF」の器は、すごくデザインされているのに作り方は工芸的なのが面白い。平面から立ち上がったようなグラフィカルなデザインの一方で、手触り感もあるハイブリットな逸品です。




植原
植原

僕らのものづくりは素材とか構造への興味ではなく、最初に視覚的イメージがある。そこに向かって積み上げていくので、プロダクトデザイナーや建築家とは少し違うものができるんじゃないかな。


野崎
野崎

KIGIさんならではですね。でも、単純明快なデザインだからこそ、作る分には難しそう。





渡邉
渡邉

KIKOFの陶器は生地が薄いので釉薬の吸い込みが早く、表面の釉薬は雪崩のように落ちてしまいます。ガンで釉薬を吹きつけて少しずつ付着させているんです。その他様々な問題解決のために窯元さんとは試行錯誤しました。だからこそ、窯元でほんの少しの傷のB品が積まれてるのを見て心底もったいないと思ったんです。私がお客さんだったら全然これ良いんだけど、使いたいんだけど、というものが厳しい検品基準ではじかれてしまっている。ただ、積んであるということは窯元さんも割るに割れないんだろうなと。今回販売の機会ができてすごくありがたいです。




野崎
野崎

B品だってA品と同じ苦労をかけて作っていますからね。僕たちもPTBをともに作り上げてきたKIGIさんと、進化した姿でご一緒できることをとても嬉しく思っています。 




PASS THE BATON MARKET Vol.13 開催概要

日時:2023年9月23日(土)〜24日(日) 11:00〜19:00(最終日は18時終了)
※最終入場は終了時間30分前まで/雨天決行
住所:東京都港区港南1-8-35
入場料:300円 ※小学生以下無料
URL: https://market.pass-the-baton.com/
主催:PASS THE BATON
共催:コクヨ株式会社
運営:株式会社スマイルズ
※入場までにお時間をいただく場合があります。
※最終入場は終了時間30分前まで/雨天決行
※社会情勢を鑑み、上記の情報は変更の可能性がございます。



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